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思考のレッスン ( 丸谷才一 )

 丸谷才一著「思考のレッスン」を読んだ。
 本書を読むにはまず目次から。

思考のレッスン
思考のレッスン
丸谷才一
文春文庫 2002-10

by toku

 お気に入り度:★★★★

 まいった。
 書籍名から、ああしなさい、こうしなさい、と具体的に書いてあるハウツー本のたぐいかと思って読み始めたのだ。ところが、読めども読めども、そういうことがいっこうに現れない。
 確かに、各項目のタイトルに●●すべし、と書いてある。しかし、その内容に触れているのは、ごく僅か。あとは、タイトルに関連した対話形式の文学雑談のようなものがつらつらと。脱線も多い。なかには直球で語っているものもあるが、バフチンがどうの、忠臣蔵の御霊信仰がどうの、後鳥羽院の和歌がどうの、とレベルが高い。

 こまった。
 これじゃあ思考のレッスンになってない。さてどうするか。
 とりあえず、こんがらがった頭を整理するため、目次を開いてみた。六つのレッスンが大分類、さらに各レッスンをいくつかの項目に分けて小分類、という構成。それぞれにタイトルがついているから、何が書かれているか分かりやすい。
 と、レッスン4【本を読むコツ】に『インデックス・リーディングということ』という項目が目に入る。そのページを開いて読んでみる。著者は本を読むとき、索引から読み始めるらしい。索引に目を通すと、何が扱ってあるか、何が扱っていないかが分かると述べ、「本というのは、全部読まなきゃならないものもあるけれども、必要なところだけを読めばいい本もある」と語る。そうか、いま自分がやっていることは、間違いじゃないんだ。

「必要なところだけを読めばいい」といえば、この項目の前に『本はばらばらに破って読め』という項目があった。ページを開く。「大事なのはテクストそれ自体であって、本ではないと思っている」という言葉が目に入る。比喩かと思っていたら、著者は実際に破っているようだ。こうすることでテクスト自体に集中できるのだろう。と、さっきの索引のことが頭に浮かぶ。そうか、その破ったページが、一つの索引を作るべき固まりとなるんだ。それが集まって一つの本になる。それが別々の本でも、何かを調べて破ったページが集まれば、それはその調べた事柄に関する、多くの意見をまとめた本となる。
 ということは、その本を理解するとき、索引からどういう分類をしたかを見て、その著者の言いたいことを考えればいいんだ。あ、これは『インデックス・リーディングということ』で著者が言っていたことだ。著者はこのことが言いたかったんだ。

 結局、まとめて細かく読んで、全部理解しようと読んでしまったから、最初の困惑が起きた。索引を読んで、必要な項目に目を通せばいい。雑談や脱線だと思ったら飛ばしていい。何か関連がありそうだと電流が走ったら、雑談でも脱線でも読めばいい。
 レッスン3【思考の準備】の『考えるためには本を読め』には、「本の読み方の最大のコツは、その本を面白がること。おもしろくない本は読むな。『これはよまなくてもいい』と度胸を決める」とあるじゃないか。

 そんなわけで、図らずも本書自体の【本を読むコツ】をレッスンしてしまったようだ。
 他の本を読むときには?
 そのときの目的、内容によって読み方を考えればいいじゃないか。『思考のレッスン』という思考の参考書があるのだから。
 なんだか考えることが楽しくなってきた。

 ところで、解説に、フランス文学者で大学教授・鹿島茂氏の本書活用法の一例がある。学生との対話で、本書のレッスンを交えながら明瞭に論文指導しているので、一読の価値ありです。

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HN:yososuzume
星新一と藤沢周平中毒者。
ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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