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忠治狩り ( 佐伯泰英 )

 佐伯泰英著「忠治狩り」を読んだ。
 国定忠治を追う夏目影次郎が南蛮外衣を振り回し敵をバタバタと倒す完全無欠のヒーロー時代劇。
「狩り」シリーズ第十三弾。

忠治狩り (光文社時代小説文庫)
忠治狩り
著者:佐伯 泰英
出版社:光文社
出版日:2008-07

 お気に入り度:★★★

あらすじ

 夏目影二郎の前に現れた渡世人・参次。
 参次は、奥州へ姿を消した国定忠治の使いとして、忠治の元へ影二郎を案内するという。
 すでに忠治の子分達は八州廻りに捕縛され、奥州へ逃げている忠治に付き従う者はいないと考えた影二郎は、忠治が死に場所を探していることに気付いた。
 かくして影二郎は相棒犬・あかと共に、参次の案内で奥州路への旅に出る。
 そして雪が吹き付ける峠越えで影二郎達を待ち受けていたのは、赤装束の忍者軍団だった……。

感想

「狩り」シリーズは今まで読んだことがないのだが、本書を入手したので読んでみると、特にシリーズものだからといって今までの続きを気にすることなく、本書完結の小説として読むことができる。

 物語は、影二郎が助け助けられた仲の忠治に会い、その死に際し首を落とすという約束を果たすために出発した旅の過程が殆どを占める。
 忠治に会うための旅といっても、忠治は奥州のある場所にとどまっている訳ではなく、八州廻りの手から逃れるためかその居場所ははっきりしない。そのため、旅は忠治の幻を追うような旅となる。
 その旅の過程に赤装束の忍者軍団に襲われたり、あらたな助っ人や裏切りなどが起こりつつ、忠治の幻を追っているようだった旅が徐々に明確になっていくので、飽きることがない。(少々理解に苦しむ展開はあるが)

 物語にしばしば登場する赤装束の忍者軍団だが、思わせぶりな登場をし、所々で影二郎たちを襲いながらも、結局忍者軍団がどういう者達かも明らかにされないし、決着もついていないのが残念。(一応誰彼の手の者であろうという影二郎の推測はあるのだが)
 ただ単に冬の峠越えという厳しい状況のなか、さらに緊迫した状況を作ろうとして登場させただけの存在としか思えない。

 物語は次々と展開していくのでイライラさせられることはないが、個人的に佐伯泰英作品は肌に合わないと感じた。
 以前読んだ「悲愁の剣 -長崎絵師通吏辰次郎-(瑠璃の寺)」でも感じたことだが、佐伯氏の描く主人公には独特の世界観のようなものがあり、それに違和感を感じてしまう。
 いわゆるヒーロー然とした人物像で、物事に動じなく、まず負けることがないところまでは良いのだが、ぶっきらぼうで妙に偉そうなのである。
 ハードボイルド的な人物像だと思うのだが、なぜか人間味を感じない。スかしたナルシストに感じてしまう。

 さらにセリフの頭に大抵話しかける人物の名を言ってから話すのも気になる。
 その相手に話すと分かっている状況でも名前を言うので違和感を感じてしまう。しかも連続してそれがあると気になってしようがない。
 例えば、『みよ』という昔助けたことがある少女と一緒にいるとき、赤装束の忍者軍団に襲われ、撃退したときのセリフ。

「みよ、終わった」
 顔をあげたみよが夜空を見上げた。
 ざわざわと杉の枝が鳴っているばかりだ。
「みよ、もどろうか」
 影二郎の穏やかな声が言った。

 まず、最初のセリフがなんだか変だ。
 さらに二人しかいないのに連続してセリフの頭に名前を入れるだろうか。
 二つ目のセリフは、この短いセリフとセリフの間に少し間(時間)があるとすれば、気にならなくなるが、その場合、短い文章が間に二行しかないため間は読者が作り出さなければならず、読む側が間を経なければいけないのはどうかと思う。

 夏目影二郎が二十匁の銀が二粒仕込まれた南蛮外衣を振り回し、それでほとんどの敵を倒してしまうのもなんだかなぁという感じである。

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