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白虎の剣―長崎絵師通吏辰次郎 ( 佐伯泰英 )

 佐伯 泰英著「白虎の剣―長崎絵師通吏辰次郎-」を読んだ。
 スピーディーな進行と目まぐるしく変わる展開が魅力の時代劇ヒーロー小説。
悲愁の剣―長崎絵師通吏辰次郎(瑠璃の寺)」の続編。

 お気に入り度:★★★

あらすじ

 通吏辰次郎は、江戸において李次家の没落にまつわる数々の真相と事件が落ち着いたあと、眼の不自由な娘おしのと李次家の嫡男・茂嘉を伴って長崎に戻ってきた。
 その頃、幕府の阿蘭陀交易の厳しい制限計画の情報を得ていた長崎では、大幅に利潤が減ることを危惧していた。
 阿蘭陀商館長と長崎会所は、長崎に帰着したばかりの辰次郎に、以前のように窓口となって密貿易を取り仕切って欲しいと依頼する。

 二人の依頼を飲んだ辰次郎は、阿蘭陀密貿易の計画を推し進めるが、唐交易に損害をもたらす阿蘭陀密貿易を阻止しようとする唐人秘密結社・黄巾党の襲撃と、新たに長崎目付に就任した宇田川陣斎の厳しい監視の目を受ける。

 やがて遊女・和茶のキリシタン疑惑とともに辰次郎が和茶の危な絵を描いていると疑う宇田川陣斎との闘い、阿蘭陀交易拡大を阻止しようとする黄巾党との争いが幕を開ける。

感想

 前作・悲愁の剣と同じく、スピーディーな進行と目まぐるしい展開が魅力の物語。
 読者を飽きさせない物語展開によって、つねに物語の先を知りたくなる衝動に駆られる。
 しかし、その楽しみを阻害する要因がいくつかある。
 これは前作も同じなのだが、会話の台詞に違和感があり、話の飛躍が見受けられ、読む物にとって物語に入りづらさを感じた。

 物語の入りづらさと言えば、この作品の世界感にも同様に感じる部分がある。
 主人公・通吏辰次郎は完全無欠のヒーローであり、その言葉使いは偉そうなのである。
 また辰次郎が帯している刀・備前包平が、刃渡り二尺九寸二分(約八十八センチ)の長尺とやたらに強調され、異郷で修羅場を潜ってきた南蛮殺法が自慢のようである。

 この世界感に入り込めないのは、時代小説とヒーローものを合わせた大人のためのヒーロー小説というエンターテインメント性が強いものだからだと思う。
 以前読んだ「忠治狩り」も似たような世界観で、物語に入り込めなかった。

 本作のストーリー展開で少し残念だったのが、前作ほど結末がすっきりしていない点。
 物語のクライマックスは第五章『商館長江戸参府』
 この章は新しく阿蘭陀商館長に就任したヒュースケンが、商館長就任の恒例である江戸参府までの道のりを描いている。
 といっても単なる参府の旅でなく、将軍謁見のおり安南から連れてきた白虎を献上し、阿蘭陀交易制限の緩和を願い出るという目的も孕んでいるから、白虎の輸送と黄巾党が襲撃してくる話の中心になっている。

 で、どこがすっきりしていないかというと、目的だと思っていた江戸参府と交易制限の緩和の出願、そしてその後の密貿易の行方などは一頁ほどであっさりとまとめられており、旅のあとに来るであろうクライマックスを期待していたら、実はあの黄巾党との死闘の旅がクライマックスだったのかと拍子抜けさせられた点。
 この話で重要なキャラクターの白虎についてもあっさりと……

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