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縮尻鏡三郎 ( 佐藤雅美 )

 佐藤雅美著「縮尻鏡三郎(しくじりきょうざぶろう)」を読んだ。
「縮尻鏡三郎」シリーズ第一弾。
 ユニークなキャラクターたちが生き生きと動き回るホームドラマ的雰囲気の時代小説。

縮尻鏡三郎 (上)
縮尻鏡三郎 上  文春文庫 さ 28-5
おすすめ度:
縮尻鏡三郎 (下)
縮尻鏡三郎 下  文春文庫 さ 28-6
おすすめ度:
著者:佐藤雅美
出版社:文春文庫
出版日:2002-06
powered by a4t.jp

 お気に入り度:★★★★★

 佐藤雅美氏が描く特徴的なキャラクター「物書同心居眠り紋蔵」に続く、縮尻鏡三郎が活躍するホームドラマ的雰囲気が漂う時代小説。

 勘定所の留役にまで昇進していた拝郷鏡三郎は、とある訳により失職して『縮尻御家人』となった。
 鏡三郎が縮尻御家人になった理由には、かつての上司で公事方勘定奉行・三枝能登守と老中首座・水野出羽守が関わっており、鏡三郎は三枝能登守が探してきた給金五十両というまあまあの待遇で大番屋の元締めに落ち着いた。

 大番屋は小伝馬町の牢へ送る前の下調べをする仮牢兼調所。運営は町方の役人だったが、鏡三郎はそこの長である元締めになった。 鏡三郎の仕事は、仮牢への入出数の確認と、恐ろしい小伝馬の牢へ連れて行かれる前になんとか手心を加えて欲しいと、頭を下げに来る親兄弟や店の主人などの頼みを聞くこと。

 鏡三郎は元勘定書留役だけあって大抵のことは解決し、さらには幸運に助けられて解決する問題数知れず。
 なんだかんだと頼りにされて、かつて問題を解決してやった者の紹介で頼ってきた者、定町廻りや臨時廻りなどから受ける相談事、かつての上司・三枝能登守の依頼事など、さまざまな相談事の解決に鏡三郎が活躍することで物語は展開していく。

 本作品の雰囲気は、全体的に鏡三郎を取り巻く人間関係によってほのぼのとしたものを漂わせながらも、鏡三郎が町方に近い大番屋の元締めということもあって、物語は町方からかつての上司つながりで幕府内の問題まで、幅広い問題が描かれているので読んでいて飽きさせない。
 また佐藤雅美氏の小説でよく見られる掛け合いのようなテンポのいい会話も魅力的。

「縮尻鏡三郎」はシリーズものだが、本作品上下巻で十分まとまりのある完結を迎えている。

 収録されている各話は独立しているものの、大きな流れがある連作短編タイプ。
 一話目の『春の浜風』では、鏡三郎の現在の状況や仕事ぶり、人物像、鏡三郎を取り巻く環境などを描いた、さわり的な話。
 二話目の『思案投げ首』で、ここで扱われている『長崎会所五冊物』という長崎会所がまとめた貿易収支明細が、本作品の大きな流れを作り出しており、関連して鏡三郎が縮尻御家人になった顛末も描かれている重要な話。

 以降、鏡三郎の元に持ち込まれたさまざまな問題を解決していく話になるのだが、問題を解決するだけの物語でなく、娘・知穂、地借りをしている津田織部、引合茶屋・矢車屋のおりん、三枝能登守、水野出羽守、北の臨時廻り・梶川三郎兵衛、果ては将軍まで、個性的なキャラクターが登場し、鏡三郎との人間関係が描かれており、賑やかで暖かさを感じさせる。

 下巻の最終話では、二話目での大きな流れに決着が着くという構成になっているので、読み終えると長編を読み終えたようにスッキリする。

物書同心居眠り紋蔵」シリーズに加え、「縮尻鏡三郎」シリーズも嵌ってしまった。

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星新一と藤沢周平中毒者。
ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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