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かげろう日記 ( 吉村達也 )

 吉村達也著「かげろう日記」を読んだ。
 日記に宿った執念と情念と怨念。かげろう日記の秘密に迫るミステリーホラー。

かげろう日記 (角川ホラー文庫)
かげろう日記 (角川ホラー文庫)
著者:吉村 達也
出版社:角川書店
出版日:2003-03
おすすめ度:
Amazon.co.jp で詳細を見る

※2010/2/26:追記訂正

「かげろう日記」の裏表紙から

 人は、いったい何のために日記を書くのだろうか?
 大学時代の恋人・内藤茜を捨てた町田輝樹のもとに、差出人不明のノートが郵便されてきた。表紙には茜の筆跡で「かげろう日記」。
 だが茜は、輝樹にふられた十ヶ月後に、不幸な事件で死んでいる。日記は生前の彼女が、やがてくる悲劇的運命も知らず、忘れられぬ輝樹への思いを綿々と書き綴ったものだった。それを読みはじめた輝樹は、日記が死の日に近づくにつれ、茜の存在を体感する恐怖に襲われていく。

あらすじ

 他殺体が発見された。錆びたギターの弦で首を絞められた跡。6本の弦を使って六回も。
 * * *
 吉井満智子の元に『かげろう日記』が送られてきた。電話で恐ろしい日記だと告げて睡眠薬自殺した若者から。
 * * *
 町田輝樹に送り主のない大学ノートが郵送されてきた。
 表紙には見覚えのある字で『かげろう日記』、題名に下に『茜』と記されてある。十ヶ月前に殺された元彼女からだった。
 彼女が殺されて、およそ半年経った日に届き、自分と別れて四ヶ月後から書き始められていた『かげろう日記』。
 朝、日記をポストに見つけたこの日は、彼女の誕生日だった。

感想

 ホラーとミステリーが融合したミステリーホラー作品。
 ホラーとしての怖さは物足りないものの、不可解な現象を謎解くミステリーに、引き込まれる。
 推理小説によくある殺人事件の変わりに怪奇現象が据えられた印象である。

 物語は、主人公町田輝樹が、殺された元彼女茜が綴ったかげろう日記を、読み進めていく形式で描かれている。
 日記のページをめくるたびにあらわになる、輝樹を忘れられない茜の悲痛な叫び。
 徐々に常軌を逸し、執念と情念と怨念の宿った日記は、茜の死んだ日が近づくにつれ、読み進めていく輝樹の精神を磨り減らしていく。

 茜の死んだ日の日記が非常に気になるが、死んだ日の日記が登場するのはまだ中盤。
 日記の先は想像がつかないことはないものの、謎が多く残る状況に目が離せない。
 プロローグで提示された、他殺体発見の真相とかげろう日記のページをめくる吉井美智子のその後、また日記の真相も明らかになっていない状態は、中盤に到ってもミステリーに満ちている。
 中盤までは、これから明かになっていく驚愕の真相への助走だろう。

 ところで本作品で重要なのが、町田輝樹の同僚で、冷静な論理的思考の持ち主宮本卓郎の存在。
 怪奇現象という通常ありえない状況に、読者は物語の世界に入り込みづらい。
 しかし、読者と同じ客観的な視点と思考を持った卓郎を登場させることによって、現実的な世界を創り出し、読者を物語の世界に引き込む。

 さきに怖さは足りないと書いたが、本編最後に書かれた一行は、実際に身の上に起こったと想像すると、恐怖以外何ものでもないだろう。
 一気読みできるほどのストーリー展開と構成が魅力の作品である。

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ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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