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家日和 ( 奥田英朗 )

 奥田英朗著『家日和』を読んだ。
 ハマることって悪い事じゃない。

 お気に入り度:★★★★

 日々の生活で少しずつ溜まっていく不満やストレス。
 人間はよくできたもので、快感を求めることでストレスが発散できるようになっている。
 ここに登場する六つの家の住人たちは、何かにハマってストレス発散。
 ストレスが解消されたあとは、我に帰ったり、本当の自分を見つけたり。
 軽妙に描かれた日常の断片に、思わず頬が緩んでしまった。

サニーデイ

 不要になったピクニックのテーブル。
 リサイクルショップでは二束三文。外国製で一万円以上もした品なのに!
 そこで、始めてオークションに出品してみると、二千五百円もの値がついた。
 金額が上がっていくのが楽しくて、落札者からの感謝の言葉が嬉しくて、さっそく次の品物を探し始めた。

 始めてのオークションに快感を覚えた主婦の物語。
 リサイクルショップの買い取り価格は本当に二束三文で、腹立たしいのは共感できる。
 しかも、それが十倍ほどの価格で売りに出されるのだから、余計に腹立たしい。
 自分はオークション出品の経験はないが、ハマってしまう気持ちは分からなくない。
 でも出品する時は、その品物の価値を事前チェックしないと……。

ここが青山

 出社すると十四年勤めた会社が倒産していた。
 明るく接してくれる妻は、前職に復帰。
 それから家事は自分の仕事となったが、主夫ってけっこう楽しい!!

 主夫の楽しさに目覚めた失業夫の物語。
 夫は仕事で妻は家事、という慣習がまだまだ根強い日本だけど、会社で働くより家事の方がいいという男性や、バリバリ働いて夫には家事をして
 もらいたいという女性もいるはず。
 家事を楽しむ夫と世間のギャップが楽しめた。

家においでよ

 妻が家を出たら部屋が広くなった。
 とりあえず必要な家具を買いに行く。
 レコードやオーディオ機器を並べたり。
 そうだ実家の物置から三百枚のレコードを引き上げて……。
 妻の意向を気にせずに、好みの家具を買えるって最高だ。

 離婚を期に自分好みの部屋を大改造する男の話。
 ずっと妻好みの部屋に住んでいて、自分の居場所がなかったんだろうなぁ。
 部屋がコンプリートしたら同僚のたまり場になるなんて、よっぽど男の心地よい部屋なんだろう。

グレープフルーツ・モンスター

 今日は内職の担当者が新しい仕事を持ってくる日。
 ところが、いつもの担当者ではなく、色黒の茶髪で柑橘系の香りがするチャラい男が現れた。しかも図々しい。
 この男が毎週来るのかと思うと気が重くなったが、その夜、グレープフルーツの怪物に犯される夢を見た。

 グレープフルーツの怪物に犯される夢が楽しみになった主婦の話。
 この話は男の妄想っぽく、収録の作品の中では異色な印象を受けた。

夫とカーテン

 気持ちが暗くなった。
 また夫が仕事を変えたのだ。
 近くにできるマンションの需要を見込んで、カーテン屋を始めるという。
 しかも事前調査済み。
 これだけバイタリティーに溢れ、ポジティブ思考なのに、なぜ会社で活かせないのか。
 その夜、女性誌の編集者から「今回のイラスト、なんかすごくいいッスね」という電話がかかってきた。

 夫が転職するたびに仕事が冴え渡る妻の話。
 腰の落ち着かない夫のために、生活を心配する妻の防衛本能か。
 それとも夫の行動が、妻のクリエイティブの海を掻き回したのか。
 夫に不満は持ちつつも、いちおううまくやっているのは、二人とも安定した仕事についていない、似たもの夫婦だからかも。

妻と玄米御飯

 妻がロハスにはまった。
 毎日玄米御飯と野菜三昧。
 子どもたちも迷惑がっている。
 ほんと、勘弁してほしい。

 ロハスに目覚めた妻の話。
 もはやファッションと化したロハス。
 その迷惑さ加減を、家族の戸惑いを通して巧みに描いている。
 小説家の夫が、ファッションロハスを嘲笑したいのは分かるが、それを作品にしちゃ奥さんに悪いでしょう。

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ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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