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最悪 ( 奥田英朗 )

 奥田英朗著「最悪」を読んだ。

最悪 (講談社文庫)
最悪 (講談社文庫)
著者:奥田 英朗
出版社:講談社
出版日:2002-09
おすすめ度:
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 かなり大雑把に説明すると、それぞれ悩みを抱えた川谷、みどり、和也の三人は、そこから抜け出そうとしているが徐々に「最悪」方向へと状況が進んでいき、「最悪」の事件に関わってしまうという内容。

「最悪」の背表紙から

 不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説。

 出だしはそれぞれ三人の日常から始まり、1/4位までそれぞれが感じている悩みを含んだ日常が描かれており、話が進展しないので読むのが辛かった。

 川谷は近隣から騒音の苦情を受け、また取引先からのリベートを含んだ設備投資の話を持ちかけられる。
 みどりは嫌がっていた新歓キャンプに行き、支店長から強姦未遂を受ける。
 和也はタカオと一緒に、タカオが乗ってきたヤクザから借りた車で工場にトルエンを盗みに入った所を近所の人に見られてしまう。
 この辺りから徐々に話は「転がって」いく。

 後半1/4までは事件らしい事件はなかなか起きず、三人の状況が「最悪」に転がった時に三人がその場に居合わせ、この小説のクライマックスへと進んでいくので、どんどん読んでいく事ができるが、期待したほどのクライマックスが待っている訳ではなかった。

 銀行から手のひらを返されたように融資の話が断られ、その冷たい態度に川谷が怒り狂っている時、和也とみどりの妹めぐみがみどりの銀行強盗に入り、三人が初めて同じ場所に居合わせる。
 妹が銀行強盗に入った事でショックを受けるみどりは、和也達が獲った人質の身代わりになり、
 銀行の対応に怒り狂っていた川谷は解約した預金を銀行強盗の和也達に渡そうとする支店長を見て、さらに怒りが高まり、和也達の強盗幇助をしてしまい、いっしょに逃げる羽目になる。

 これで和也、めぐみ、みどり、川谷の逃亡が始まっていき、一時的に隠れていた御殿場のバンガローで、和也とみどりが状況を知っており身元が割れている川谷を殺人未遂を起こしながらも、四人は今後の身の振り方を決める。
 ここら辺の「最悪」の方向に転がってしまった彼らのやり取りは面白く、悪い人間になれない彼らがこれからどういう風に結論を出していくのかが楽しみだった。

 500万を持ち逃げしヤクザから追われる原因を作ったタカオから和也に電話が入り、いっしょにどこかへ逃げようと提案をし和也を迎えに来るが、予想した通りヤクザと一緒だった。
 これから4人はどうなるのか展開が楽しみで読み進んでいき、ヤクザともめ出した時の和也と川谷のやり取りは心を暖かくさせるものがあった。

 結末はみどりがバンガローから家に携帯で電話した事で、警察に場所がバレ、ヤクザも含め警察につかまるといったある程度予想できる内容だったが、その後「最悪」から少しだけ気持ちが晴れている和也、川谷、みどりが描かれているのが後味をすっきりさせた。

 読んでいる時は松村、岩井、柴田老人がこの物語に一枚かんでくるのかと思っていたが、だだの登場人物だったので、すこしだけ拍子抜けした。

 三人が「最悪」になっていく描写はなかなかリアルで、特に川谷の「最悪」は読んでいても胃が痛くなるような描写なのが印象的だった。
 気分が沈んでいる時にこの本を読むと、こちらまで「最悪」になりそうなので、ある程度気分がすっきりしている時に読んだ方がいいかもしれません。

 ちなみにこれとは逆に「最悪」の状態にありながら、強い生命力に溢れ人生を生きていく人物が登場する宮本輝氏の小説は、気分が落ち込んでいる時に読むと、何らかの力が湧いてくるかもしれません。

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