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ぼんくら ( 宮部みゆき )

 宮部みゆき著「ぼんくら」を読んだ。
 鉄瓶長屋を襲う数々の事件の謎が寂寥感を駆り立てるミステリー叙情小説。
 本作の続編は「日暮らし」。

ぼんくら(上)
ぼんくら〈上〉 (講談社文庫)
おすすめ度:
ぼんくら(下)
ぼんくら〈下〉 (講談社文庫)
おすすめ度:
著者:宮部 みゆき
出版社:講談社
出版日:2004-04

 お気に入り度:★★★★

 この作品だいぶ前に読んでおり、先日続編の「日暮らし」を読んだこともあって、改めて読み返してみた。

 物語の構成は、大きく分けるとプロローグ(【殺し屋】~【拝む男】)、本章(【長い影】)、エピローグ(【幽霊】)となっている。
【殺し屋】では、久兵衛が良くできたみんなから信頼される鉄瓶長屋の差配人として登場。
【博打打ち】で、久兵衛がある事件をきっかけに出奔し、三十歳にもならない若い左吉が久兵衛の後釜として、差配人に収まる。
 前半のこの二章が重要な物語となっており、特にこの部分に後々の仕掛けが仕組まれている。

 話は鉄瓶長屋を中心とする湊屋の思惑が生む数々の事件を描いている。
 主人公の同心・井筒平四郎は、面倒くさいことが嫌いなのに、新しい差配人・左吉を不憫に思う気持から、鉄瓶長屋への湊屋の思惑に首を突っ込み始める。
 そして【長い影】で超美形で頭の良い甥っ子・弓之助が登場することで、湊屋の思惑が徐々に明らかになっていくという展開。

 本作はミステリのジャンルに入るが、いわゆる謎解きもののように物語の中に伏線が張られていて、それを見つけながら最後の結末を連想するといった楽しみ方は向かないと思う。
 どちらかというと、いくつかの事件が起こり、やがて湊屋の思惑の片鱗が見え始め、それがやがてどう繋がっていくのか、を楽しみにしながら読み進めていくといった読み方の方が楽しめる。
 だからあまり先を推理せずにに読み進めていった方がいい。

 本作で気になったのは、平四郎のセンチメンタリズムである。
「日暮らし」でも同様だが、少々長く、くどい印象を受けた。

 読み終えてみると、鉄瓶長屋と湊屋という狭い世界での物語なのだが、プロローグが十分に活きているため、世界の狭さを感じさせない面白さがある。
 続編の「日暮らし」は、その世界をもう少し広げたものになっているが、湊屋の呪縛?からは逃れられない。

 湊屋の思惑の片鱗が見え始めたところで、ある仮説が説明され、本章の最後に結末が語られるという流れが成されているので、それまではクライマックス(個人的には長屋の地面を掘り返す場面)に向けての助走として考えることもできる。

 ちなみにエピローグである最終章【幽霊】では、最後に女が登場する。
 女は鉄瓶長屋を訪ねてき、誰かを捜している風である。
 その女はお徳の感に触り、飴湯をかけられ逃げていってしまうが、これが“葵”である。
 このエピローグで初めて生きた“葵”がチラと登場するのだが、これがあるからこそ、続編で登場する“葵”も活きてくる。
 “葵”のためのエピローグである。

 続編の「日暮らし」には、本作にある【左吉、みすず、おみつ、お恵、官九郎】の詳しいエピソードや、生身の葵が登場するので、続けて読んだ方が面白いだろう。

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ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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