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日暮らし ( 宮部みゆき )

 宮部みゆき著「日暮らし」を読んだ。
 深川の同心・井筒平四郎、美形の甥っ子・弓之助が活躍する「ぼんくら」の続編。
 各話の糸が絡み合いだしてやがて一本の糸になる人間くさく分別くさい時代小説。

日暮らし(上)
日暮らし〈上〉 (講談社文庫)
おすすめ度:
日暮らし(中)
日暮らし〈中〉 (講談社文庫)
日暮らし(下)
日暮らし〈下〉 (講談社文庫)
著者:宮部 みゆき
出版社:講談社
出版日:2008-11-14

 お気に入り度:★★★★

 久々に読んだ宮部作品。
 前作「ぼんくら」を読んでから、かなり時間が経っていたので内容を忘れていたが、本作「日暮らし」だけでも十分に楽しめる内容となっている。
 前作で起きた湊屋事件。そして今作も湊屋に絡んだ内容が中心となっており、前作の事件のあらましも語られている。
 しかし、前作「ぼんくら」ではほとんど名前だけしか登場しなかった『葵』が、今作「日暮らし」で重要な位置づけで登場するので、「ぼんくら」「日暮らし」と続けて読んだ方が、より面白い。

 江戸時代の物語なのだが、宮部色が色濃く出ており、他の時代小説にはない宮部ワールドが展開している。
 現代小説であろうが、ファンタジーであろうが、時代物であろうが、その色には変わりがないのが宮部作品の特徴の一つだと思う。

「ぼんくら」「日暮らし」に登場する人物たちもこの作品の魅力の一つ。
 超美形の弓之助、記憶力がずば抜けている『おでこ』、困っている人がいると面倒を見ずにはいられない『お徳』など、物語の重要な位置づけにあり、これらの人物たちによってホームドラマ的な雰囲気が作られているところなどは、佐藤雅美著の居眠り紋蔵シリーズに通じる暖かさがある。

 最初に「日暮らし」を読んで感じたことは、平四郎の考えに教訓めいて、分別くささを感じたことだ。
 その考えにどこか疎ましさを感じ、違和感を覚えた。
 これまで感じてこなかったのだが、ここのところ、池波作品、藤沢作品、居眠り紋蔵を数多く読んでいたことが、宮部色の一部に違和感を感じさせる一因になっているように思う。

 全体の流れは、助走としての短編があり、それから徐々に本題に入っていく。
 上巻『子盗り鬼』は短編として成立しているが、それが後々、本題『日暮らし』に取り込まれていくといった形を取っている。
 各短編や事件がバラバラの糸として存在していたものが、物語が進むにしたがって、徐々に集まりだし、やがて一本のヒモになる、そんな構成だ。
 だから読んでいて面白い。あの話がここにつながるのかと唸ってしまう。

 本題『日暮らし』の後半、弓之助が真相の推察を平四郎に伝える場面では、間延びしたような、結論をなかなかださない流れになっているので、少々イライラしてしまった。
 この場面、差し迫った状況にあるので、普通なら平四郎は結論を先に聞くのではないかと、そしてその後に理由を問うのではないかと感じたし、読んでいて結論を先に知りたくて仕方がなかった。
 この場面でクライマックスに駆け上がる勢いが少々落ちてしまった、そんな印象を受けた。

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ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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