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はぐれ牡丹 ( 山本一力 )

 山本一力著「はぐれ牡丹」を読んだ。
 八兵衛店を襲った贋金に関わる拐かし。一本気の主人公が事件解決に立ち上がるエンターテインメント調サスペンス。

はぐれ牡丹 (ハルキ文庫 時代小説文庫)
はぐれ牡丹
著者:山本 一力
出版社:ハルキ文庫
おすすめ度:
Amazon.co.jp で詳細を見る

 お気に入り度:★★★★

あらすじ

 両替商本多屋の一人娘一乃は、親の反対を押し切り、寺子屋を営む鉄幹と結婚した。
 勘当同然となった一乃は、裏店の八兵衛店に越してから五年間、実家には帰っておらず、生活の足しにと始めた、野菜の棒手振りは、二年が経っていた。

 ある日、一乃は、野菜の仕入れ先の農家で筍取りを手伝ったとき、実家で見慣れていた一分金を拾った。
 百姓に縁遠い筈の一分金を疑問に思い、久しぶりに訪れた実家で調べてもらったところ、贋金と分かる。

 一方、八兵衛店の産み屋では、おかねが子供を産んだにも関わらず、亭主で印判師の清吉が戻ってこない事を心配していた。
 同じ店の兄妹分吉とおあきは、善助店にある清吉の家で彼の帰りを待つことになったが、戻ってきたのは分吉だけだった。
 清吉の行方は知れず、おあきは何者かにさらわれていた。

感想

 贋金の謎と、行方不明の清吉、さらわれたおあきの救出劇を中心に描いたサスペンス作品。
 作者の作風である、主人公の生涯を義理と矜持で描いた作品ではなく、エンターテインメント調の作品でもある。

 主人公一乃は、大店の娘でありながら、一本気で猪突猛進的な性格。
 その明るい性格から八兵衛店の皆から好かれている。

 その彼女をサポートするのが、夫で寺子屋を営む鉄幹。
 論理的であり、危険を冒さない彼の性格が、突っ走りがちな一乃の行動を抑制する。

 この二人が中心となって、八兵衛店に起こった拐かし騒動を解決していく物語は、多くの登場人物たちによって彩られている。
 ただ人によっては、彼らのユニークなキャラクターによって、二人の存在が霞み、芯が無いように感じられるかもしれない。

 本書のタイトル「はぐれ牡丹」も、一乃や鉄幹に関係するものでなく、八兵衛店で産み屋を営むお加寿と、彼女を捨てた花火職人松次郎にまつわるもの。
 このお加寿と松次郎の挿話が物語に花を添える役目を負っていることからも、一乃と鉄幹は明確な主人公という位置づけというよりは、物語を引っ張っていく存在なのだろう。

 残念なのは、物語が二人を救出して終わるという結末だろう。
 終章で、その後の八兵衛店を描いているが、ユニークなキャラクターたちによって賑やかになった物語は、このまま締めとするには惜しい気がする。
 山本作品には珍しいユーモアが描かれ、連作短編の一話とするとしっくりくる、この作品の続編を期待したい。

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ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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