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水曜日は狐の書評 ( 狐(山村修) )

 狐著「水曜日は狐の書評」を読んだ。
 読者をその気にさせる暗示的書評。

 お気に入り度:★★★★

 本書は、1990年5月後半から2003年7月末までの期間、日刊ゲンダイに掲載された狐氏の書評を収録している書評本。著者にとって四冊目である。
 書評の本とは珍しいが、それほど著者の書評が優れている証だろう。その秘密を車のインプレッションに例えて探ってみる。

 彼は、すぐに車に乗り込んで、その善し悪しを語ることはしない。まず、その車を製造したメーカーの魅力、そのメーカーが製造した過去の車のこと、そのメーカーを愛した人たちのエピソードなど、その車の付加的魅力を存分に語って、それでは運転してみましょう、となるのである。
 そして運転スタイルにも特徴がある。その車に合わせた衣装を身につけ、車に合わせた運転をする。高級車ならフォーマルな装いで優雅に、レーシングカーならツナギを着込んでかっ飛ばし、ファミリーカーならカジュアルファッションでみんな楽しく、そういう印象を受ける。
 そして何より、その車に触れることの喜びが満ちていて、彼のインプレッションに接すると、その車のことをたくさん知っている気にさせられ、一緒に運転している気にさせられ、結果的に興味や愛着が湧いてくる。見たことも乗ったこともなくても、その車を好きになる。暗示にかかったように『乗ってみようかな』とその気になるのだ。

 著者はその魅力的な書評を800字以内に収めた。文庫本二ページ分という量にもかかわらず、濃厚な書評を印象づけられるのは、先に述べた付加的魅力を惜しげもなく語っているからに他ならない。そこからは、かなりの読書量が感じられるのだが、衒いを感じさせず、雑学的に披露してくれるのだから心地よい。
 川原泉著「ブレーメン2 第一巻」の書評の中で、狐氏は『読む本は選ばねばならない。人生はあまりにも短いのである』と書いている。それなのに彼の書評のせいで、読みたい本が爆発的に増えたのはどういうことか。人生はあまりにも短いのである。

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星新一と藤沢周平中毒者。
ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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