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コールドゲーム ( 荻原浩 )

 荻原浩著『コールドゲーム』を読んだ。
 精神的に傷つけるイジメは犯罪でなく、肉体的に傷つける復讐が犯罪という線引きに感じる、割り切れない気持ち。

 お気に入り度:★★★★

コールドゲーム 内容紹介(裏表紙より)

 高3の夏、復讐は突然はじまった。
 中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく……。
 犯行予告からトロ吉が浮かび上がる。4年前、クラスの中のイジメの標的だったトロ吉の行方は誰も知らなかった。光也たちは有志、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を探し始めるのだが――。
 やるせない真実、驚愕の結末。
 高3の終わらない夏休みを描く青春ミステリ。

 突如として復讐劇が始まった。
 4年前に苛められていたチビでトロくさかったトロ吉が、がたいのいい185cmの長身でモヒカン、迷彩服、そして格闘技を身につけ、自分を苛めたクラスメートたちに一人一人復讐していく。
 その事実を知ったかつての仲間は、「北中防衛隊」を結成。
 トロ吉を探し始めるが、いっこうに姿は見つからないのだった。

 はっきりと姿を現さないチビでトロくさかったトロ吉は、どんな人間に生まれかわったのか。
 この復讐劇は、最後の一人まで続くのか。
 そういう謎に引き込まれつつ、最後までしっくりこない気分が残った。

 物語は、苛めた側の視点で進んでいくのだが、とにかく悪ガキたちの身勝手さばかりが印象に残っている。
 苛められた者の復讐に対して、「北中防衛隊」とは身勝手すぎる。
 自分たちが先に攻撃しておいて、攻撃されたら、自分たちは正当防衛で迎え撃つという思考は、やはり気分が良くない。
 なのに、犯人の異常性と、立ち向かう「北中防衛隊」にクローズアップした内容には引っかかる。
 しかし、彼らを打ちのめす爽快な結末はなく、彼らの反省もなく、なぜか青春の一幕的な雰囲気で終わっていることに違和感が残った。

 たしかに復讐とはいえ、殺人を犯せば行き過ぎだが、苛められ自殺を考えたほどの者なら、こういう復讐を想像くらいはするだろう。
 苛められた者の心に溜まった憤りは、どこで解放すればいいのか。
 イジメの犯罪性と、復讐の犯罪性を考えさせるのが狙いなら、非常に良くできた作品だと思う。

 ところで、最後にトロ吉が乗っていた125ccのバイクが走り去るのだが、これが何を意味するのか分からなかった。

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ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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