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メリーゴーランド ( 荻原浩 )

 荻原浩著『メリーゴーランド』を読んだ。
 お役所仕事の描写が見事。これだけイライラさせられるものはない。それを跳ね飛ばす主人公の奮闘と、テーマパーク再建に奔走する登場人物たちの姿が気持ちよい。面白くて暖かくて爽やかなサラリーマン小説。

 お気に入り度:★★★★★

メリーゴーランド 内容紹介(裏表紙より)

 過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。啓一は田園都市の市役所勤務。愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。……って、再建ですか、この俺が? あの超赤字テーマパークをどうやって?! でも、もう一人の自分が囁いたのだ。〈やろうぜ。いっちまえ〉 平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが――。
 笑って怒って、時々しんみり。ニッポン中の勤め人の皆さん、必読。

 駒谷市と県内の建設会社の共同出資で開演した『駒谷アテネ村』。累積赤字四十七億円を抱えているにもかかわらず存続しているのは、市が多額な補助金を投入しているからだ。しかし、なぜ赤字なのか。テーマパークアテネ村は、お役所仕事のテーマパークでもあった。
 アテネなのに凱旋門があり、満天星つつじの民家風生け垣、大人千六百円小人千二百円の高額入場料金、不機嫌に役所の窓口みたいな口をきく受付の老人、一万円を出すと「細かいのないの? 」と横柄な態度、全部同じ品種の薔薇園、五時閉園に向けて四時四十五分からの閉園準備。
 客を怒らせるのが仕事かと思えるようなテーマパークであった。

 そのアテネ村の再建担当を任されたのが、Uターンで市役所に転職した啓一だ。アテネ村の運営会社ペガサスリゾート開発に出向という形で、その中に置かれた新設部署アテネ村再建対策室に配属となったが、この運営会社は天下りの巣窟。大赤字を垂れ流すだけはある。
 そんな部署で、さまざまな派閥的思惑に邪魔されながらも、啓一はテーマパーク建て直しに奔走する。

 誰も味方がいない中、サラリーマン時代のコネを頼りに、東奔西走する啓一。そんな必死な姿に、オシャレにしか興味のないいいかげんな柳井や、定時で帰る存在感のない徳永も協力を始めるように。さらに学生時代に入っていた劇団の団員たち、こだわりの強すぎるイベントプランナー、大工見習いの暴走族たち、など個性的な面々も協力を惜しまない。

 ところが、新市長が就任すると、市のお荷物施設は風当たりが強くなる。政治的思惑に翻弄される啓一。再建不発の気配が漂うなか、父を思いやる娘に支えられながら、啓一は仲間と共に最後の力を振り絞る。

 お役所仕事の組織の中で、逆風にさらされながら奮闘する物語に、『オロロ畑でつかまえて』や『なかよし小鳩組』のユーモアとペーソスを織り込んだ、サラリーマンの奮闘小説。
 お役所仕事の人間たちにイライラさせられながらも、テーマパーク再建に奔走する登場人物たちの活躍は気持ちよく、啓一を応援する娘の存在は暖かく、「働くって気持ちのいいことだ」と思わせてくれる作品だった。

 主人公の啓一は過労死続出の職場を辞めて、Uターンで市役所に勤務したが、こんなにうまく転職できるわけがないという疑問はさておき、作中での彼の奮闘は、本当に気持ちがいい。遅くまで働かざるを得ない、懸命に働いても報われない、仕事への不満は色々あるけれど、この作品は、そんな不満を吹き飛ばすような力を与えてくれるような気がする。
 似たようなサラリーマン小説に『神様からひと言』というのもある。

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ミステリー・サスペンス、ホラー、歴史人物、ユーモアなど幅広く読んでいます。

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