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怪獣記 ( 高野秀行 )

 高野秀行著「怪獣記」を読んだ。
 トルコの湖に棲息すると言われる未知生物ジャナワール調査の旅。トルコの民族問題にぶつかった末に著者たちが遭遇したものとは。おもしろ可笑しい怪獣調査紀行。

怪獣記
怪獣記
高野 秀行
講談社文庫 2010-08-12

by G-Tools , 2010/10/04

 お気に入り度:★★★★

 本書は、2006年に著者高野秀行が、トルコ東部のワン湖に棲息すると噂される怪獣ジャナワールの真偽を確かめるべく、実際にトルコを訪れた調査旅行の顛末を収録したものである。

『既知の未知動物』には興味が無く、『未知の未知動物』に興味があるという著者。
 その点でジャナワールは『既知の未知動物』であり、琴線に触れるUMAではなかったのだが、著者は、元々ジャナワールのフェイク感に胡散臭さを感じ、その存在に懐疑的だった。
 それでもトルコへ行く決意をしたのは、存在の真偽をハッキリさせたい思いと、ジャナワール映像を撮影した本人による宝の詰まった著作「ワン湖のジャナワール」を発見したからだった。
 かくして著者高野秀行、カメラマン森清、トルコ遊学経験のある大学院生末澤寧史の三人は、トルコを訪れた。
 そしてジャナワール調査旅行の果てに彼らを待ち受けていたのは、とんでもないできごとだった。

 エンターテインメントノンフィクションを標榜する高野秀行氏の著作だけあって、軽妙な筆致の本書は、間違いなくおもしろ可笑しい。そして著者の未知動物への情熱が詰まっている。

『ジャナワール?映像見たけど、あんなのフェイクでしょ』と思いながらも、その真偽を確かめにわざわざ現地まで行く、馬鹿らしさ。
『ジャナワールを探しに来た』と言っては現地の人々に大笑いされ、それでも取材を続ける痛々しさ。
 40代のおっさんである著者が、子供用ゴムボートに乗って手で水をかき、ワン湖の調査に向かう滑稽さ。

 その一方で、現地取材の様子や、トルコに内在するイスラム復興主義やクルド人問題にぶつかる、シリアスな一面も。
 そういった緊張感のある民族問題に触れながらも、著者の描く現地の人々はとても親しみを感じさせる。
 それは、同じ人間として彼らに触れる著者の親しみと、鋭い人物観察から描き出される生き生きとした人々の姿があるからだろう。
 特に、現地ガイド二人への親しみのこもったユーモラスな描写は最高。

 こんな魅力の詰まった本書は、怪獣探しなんて馬鹿らしいと敬遠している人にも、ぜひ読んで貰いたい一冊だ。

【おまけ】
 著者たちをトルコに導いた書籍「ワン湖のジャナワール」を発見した末澤寧史氏のブログ
Istanblog-末澤寧史のイスタンブル流学記-
「ワン湖のジャナワール」というカテゴリに、末澤寧史氏の怪獣探しに巻き込まれた顛末などが公開されています。
 これを見ると、きっとジャナワール調査旅行の世界が広がりますよ。

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