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辺境の旅はゾウにかぎる ( 高野秀行 )

 高野秀行著「辺境の旅はゾウにかぎる」を読んだ。
 高野本の隙間を埋めるべく、高野氏の魅力を伝えるべくして登場したヨダレものの一冊。

辺境の旅はゾウにかぎる
辺境の旅はゾウにかぎる
著者:高野 秀行
出版社:本の雑誌社
出版日:2008-06-12
おすすめ度:
Amazon.co.jp で詳細を見る

 内容は大きく分けて

  1. ほんとに私は何をしているのだろう?(プロローグ)
  2. ケシの花ひらくアジアの丘(旅エッセイ)
  3. 対談【辺境+越境】(辺境対談)
  4. 辺境読書(ブックガイド)

 という構成となっている。

 本書は、4つのパートに綴られた辺境探検紀行では見られない、高野秀行の魅力が詰まった作品である。


『ほんとに私は何をしているのだろう?』というプロローグは、「神に頼って走れ」の執筆元になった、『日本を自転車で南下して次々と神社仏閣参りをするインド入国神頼みの旅』の途中で書かれている。
 旅の途中立ち寄った、四万十川流域に住む探検部の先輩との交流と、辺境を夢見る少年が描かれている。
「神に頼って走れ」の隙間を埋める内容になっているのも嬉しい。


 旅エッセイには「アヘン王国潜入記」の《その後》を書いた「アヘン王国脱出記」がある。
 割と簡単にミャンマーのアヘン地帯から帰国できたと思っていたが、まさに脱出劇だった。
 これは十年前に書かれたものだというから(あとがきより)、この本が発行されなかったら見ることができなかったと思うと、この本がとてつもなくありがたいものに思えてくる。

 その他には雑誌に掲載されたものが収録されており、悪く言うと寄せ集め、良く言うと「隙間を埋める」べく発行された高野中毒者にはヨダレものの本となっている。
 ただ高野本初心者の方は「怪しいシンドバッド」をお勧めする。この本の方が高野氏の辺境小説が詰まっているので中毒者になる確率が高くなるだろう。(実際自分もこの本で中毒になった)


 対談では、角田光代、井原美紀、内澤旬子、船戸与一、大槻ゲンジと、辺境・越境をテーマに対談。
 対談はしているが、なんとなく高野氏の辺境苦労話みたいな雰囲気になっているのが面白く、特に早稲田大学探検部の先輩でもある小説家船戸与一氏との対談が面白い。
 探検部の先輩後輩、物書きの先輩後輩という立場の対談で、昔の探検部の話や高野氏に小説執筆を勧めるなど、二人の距離が近いからこそ生まれる対談を楽しむことが出来た。

 なぜかと言うと「ミャンマーの柳生一族」で高野氏とミャンマーを旅しており、高野氏の繊細なキャラクターに対して、豪快なキャラクターが描かれており、どんな人なんだろうと興味を持っていたからだ。
 実際対談を読んでみると豪快な中にも論理的に考える人なんだという事が窺えたし、高野氏との小説を書くにあたってのやり取りは興味深く読んだ。
 船戸氏ははじめからストーリーは決めておらず、書き始めてから登場人物が展開の注文を付けだすのを待って、結末も考えないと言っている。

「ライラの冒険」の著者であるフィリップ・プルマンは『わたしは、書く前に構想を練ったりしません。まずは、小さなボートで漕ぎ出し、釣り糸を垂れ、どうなるかを見守ります。』『彼方にある目的地をめざして旅に出るのですが、ここからそこに辿りつくあいだにあるなにものかを、途中で一つ一つ発見していくわけです。書きながら自分が知らないことを発見すること、それこそが面白い。』と言っており(yomyom vol.6内のフィリップ・プルマンへのインタビュー記事より)、最初にこのインタビュー記事を読んでいたので、船戸氏のコメントを読んだときこのインタビュー記事が真っ先に思い出された。

 また、箸休めになっている対談の合間にあるミニエッセイも十分楽しめる。
 2007年にミャンマーで銃撃され無くなった長井氏とのエピソードも収録されている。


 ブックガイドでは、高野氏が勧めるノンフィクションものを中心に紹介。
 中でも本書でも対談している内澤旬子氏が書いている「世界屠畜紀行」が目を引いた。
 世界の屠畜方法を徹底リポートし、親しみのある臨場感あふれるイラストと読みやすい文章で実況しているとのこと。

 ユーモアを含んだ真面目で明快な文章で本を紹介していき、どれも読みたくさせてしまう不思議なガイドとなっている。

 そういえば「神に頼って走れ」で怪獣記が6月頃文庫本化の予定とあったがまだの様子。
 どうなってるんだろう。

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